幸せ探そうぜっ!!
帰り道、荒井君はあたしを駅まで送ってくれると言い出した。
「荒井君の家とは逆だよ?」
今いるのは駅と荒井君の家の大体中間。
「申し訳ない」
「いいの。俺が、まだ森下と話したいから」
そんなこといわないでほしい。
ちょっと期待しちゃうから。
「……ありがとう」
荒井君と一緒にいるようになって三日。
いつのまにか、あたしは荒井君のふにゃりとした笑顔に惹かれていた。
だからといってドキドキしすぎて話せないとかそういうのはない。
あたしは他人から好かれているなんて自信、これっぽっちもないから。
自惚れるほど、彼を知らないから。
「あたし、荒井君に授業してもらってから、ありがとうがちゃんと言えるようになった」
「俺、そんなこと言ったっけ?」
「ううん、あたしの気の持ちようが変わったんだと思う。それで、それを変えてくれたのは荒井君だよ」
素直になったと思う。
昔より。