幸せ探そうぜっ!!



帰り道、荒井君はあたしを駅まで送ってくれると言い出した。


「荒井君の家とは逆だよ?」


今いるのは駅と荒井君の家の大体中間。


「申し訳ない」


「いいの。俺が、まだ森下と話したいから」


そんなこといわないでほしい。


ちょっと期待しちゃうから。


「……ありがとう」


荒井君と一緒にいるようになって三日。


いつのまにか、あたしは荒井君のふにゃりとした笑顔に惹かれていた。


だからといってドキドキしすぎて話せないとかそういうのはない。


あたしは他人から好かれているなんて自信、これっぽっちもないから。


自惚れるほど、彼を知らないから。



「あたし、荒井君に授業してもらってから、ありがとうがちゃんと言えるようになった」


「俺、そんなこと言ったっけ?」


「ううん、あたしの気の持ちようが変わったんだと思う。それで、それを変えてくれたのは荒井君だよ」


素直になったと思う。


昔より。






< 24 / 81 >

この作品をシェア

pagetop