幸せ探そうぜっ!!
欲しがりなさい
“森下に足りないのは欲だよ”
あたしが荒井君にそんなことを言われたのは、クレープを食べた日から1週間たった頃だった。
「え?そ、そうかな?」
欲がないって言われても……
あたしにそんなつもりはない。
「んー、欲がないってのは適切じゃないかもね。欲がないっていうか、優しすぎるんだよ」
あたしが荒井君と図書室にいることがいつのまにか定番になっていた事にようやく気が付いた。
「やさしい……かな?」
そんなこと自分じゃ分かんないからね。
「森下は優しいよ。俺は知ってる」
ドキッとした。
そんなことを、真剣に言われたらどうしていいか分からなくなる。
それが友達に対する誉め言葉であろうと、あたしはうれしくて仕方ないのだ。
それくらい彼に惹かれていた。