幸せ探そうぜっ!!



よく考えたら、自分が誰かに勉強を教える日が来るなんて思いもしなかった。


人生、何が起こるかわからないもんなんだな。


「……た?森下!」


「っは!ごめん、どうしたの?」


「いや、何考えてんのかなぁって……」


荒井君は綺麗な指でシャーペンをくるくる回しながらあたしの目を見る。


荒井君の汚れを知らないその瞳に吸い込まれそうになる。


「えっと、あの……」


「またどもってる」


「うぅー……」





「―――――ゆっくりでいいから」



荒井君はあたしを急かさないでゆっくりとあたしの言葉がまとまるのを待っていてくれる。


それに安心して、あたしはゆっくりと言葉を組み立てる。



「誰かに、勉強を教えるなんて、想像したことなくて、これも荒井君のおかげだなぁって……」



本当にそう思ったんだ。



だから言葉にした。


言葉にする大切さを教えてくれたのも荒井君です。




< 36 / 81 >

この作品をシェア

pagetop