幸せ探そうぜっ!!
声がしたほうに振り向けば、同じクラスの荒井君。
イケメンで、明るくて、運動神経がよくて、でも勉強は苦手。
ようは人気者の荒井君。
そんな人気者に名前を覚えてもらえてるだけであたしは感激だ。
「……もしかして傘、ないの?」
「……はい」
図星。
そんな彼はいきなりあたしに笑いかけた。
「俺、昨日傘忘れていった上に今日も持ってきてて、傘二本あるから一本かしてやんよ」
そう言ってあたしに持っていた傘を渡された。
「……いいの?」
「どうぞ。男もんで悪いけど」
あたしはその言葉に首が飛びそうなくらい勢い良く首を横に振る。
「ハハ、首ふりすぎ」
やっぱり爽やかだ。
この日、彼はそのまま、あたしに手を振って帰っていった。
あたしは手を振り返せなかった。
なんていうか人種が違う?生きてる世界が違うっていうのかな?
荒井君が眩しすぎて。
不幸女のあたしなんかが、手を振り返しちゃいけないような気がした。