幸せ探そうぜっ!!

次の日、あたしはいつもより早く学校に登校した。


傘を返そうと思って、誰もいない教室の後ろにある傘立ての前に立った。


どうしても直接返せなかった。


あたしなんかが、荒井君な話し掛けられないし、荒井君はあたしに話し掛けられても、荒井君の株をさげるだけだ。


だから、傘立てにこっそり立てておいて、後で一人の時にでもお礼を言っておこう。


そういう計画だった。






だけど、思いの外1人にならない。


さすが人気者。


彼のまわりから人が消える事はなかった。




結局丸々1日、あたしは荒井君にお礼を言うチャンスを逃してしまった。


「……そして再び」


誰もいないのを確認してからあたしは、独り言を呟いた。


そりゃ呟きたくもなるよ。


だってまた雨降ってんだもん。


しかもお約束。


「傘……」


無いんだけど。


「ハァー……」


溜め息しか出てこない。


今日は、あたしの目の前で大好きなパンが売り切れた。


ついでにわざとじゃないけど、花壇に水をやっていたホースから、水が噴射。


頭びちょびちょ。





――もう最悪




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