幸せ探そうぜっ!!



結局あたしは、昨日のお礼も、今日のお礼も言えずじまいで彼の傘に入れてもらった。


となりに立つ荒井君の温もりが、触れそうで触れない距離からも伝わってくる。


そしてそれはどんどんあたしの頭を地面に近付ける。


「……なぁ、何でそんな下向いてんの?」


さっきまで一人で喋っていた荒井君はいきなりあたしに質問を投げ付けてきた。


「え、いや、その……」


「それに、そんなにどもられたら逆に傷つくんだけど」


どうやらしらないうちにあたしは荒井君をイラつかせていたみたいです。


「あ、あたし、不幸体質で、だからあんまり、一緒にいない方がいいよ。昨日も今日もありがとう」


駅まではもう百メートルくらい。


勢い良く荒井君のもつ傘から飛び出した。



が、しかし、荒井君によりすぐに捕獲。



「濡れるよ?」


どんだけマイペースなんだよ。


いまの雰囲気からはもっとかっこいいこと言わなきゃだめだろ。


「森下は自分のこと不幸だって思ってるの?」


――そうだよ





< 7 / 81 >

この作品をシェア

pagetop