幸せ探そうぜっ!!



「……」


何も答えないあたしに荒井君はため息をはいた。


――またイラつかせた


あたしが。


不幸なうえに、あたしは人をイラつかせるようだ。


「とにかく、傘に入って」


捕まれた腕をひっぱられて、せのまま傘の中へ。


「ねぇ知ってる?幸せと不幸って最終的に同じ重さになるはずなんだよ」


それは知ってるよ。


「だから、森下にだって幸せはたくさん起こってりはずだよ。不幸な分だけね」


でも…………



「あたしは、自分に自信が持てない」


これが本音。


下ばかり向いているのは、よく水溜まりに足を突っ込むからじゃなくて、


自分に自信が無くて、前を向くのが怖いだけ。


声が小さいのは、元からじゃなくて、


誰かに聞き返されればその分だけ長く話せるから。


前髪が長いのは、性格が暗いからじゃなくて、


みんなのいる眩しい世界を直視したくないから。



「俺が、」


「え?」







「俺が、お前の幸せ探してやんよ」








< 8 / 81 >

この作品をシェア

pagetop