少年の愛したトロイメライ
どれほどの間、そうして居ただろうか。
時間が止まったかのような錯覚の中で、ふいに彼女は顔を上げた。
「──もうすぐ、時間だわ。寂しいけれど、もうお別れね。愛していたわ、誰よりも」
美しい唇がその残酷な言葉を吐くと同時に、僕の中でギギ、と音がした。
「大丈夫、一人じゃないわ。みんな此処に居るもの。ここは私達のエデンだから」
何かが、軋む。
手足の感覚、思考、体温、全てが失われていく。