少年の愛したトロイメライ

少女が手招きする。

僕はまるで甘い蜜に吸い寄せられるように、屋敷の庭へ足を踏み入れた。

むせかえる花の香りに、思考が麻痺する。

玄関のドアに手を掛ければ、それはすんなりと僕を招き入れた。

ドアの先はホールになっており、見渡せばアンティーク調の家具が並んでいた。

無人と言われていたが、その内部は荒れても、朽ちてもおらず、ただただ物寂しさを感じさせた。

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