あの夏の僕ら
~七夕の日に~
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7月5日
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君と部屋を抜け出して、近くの海に行った。
波の音しか聴けない君のために。
君は笑った。
『キレイだ』と。
後ろから見ていた僕からは、君が見えなかった。が……
君の小さな身体が、この大海に呑まれていくんじゃないか。
ただひたすらに、そう思っていた。
『……後どれくらいこうして、君と居られるだろう』
そういった、君の声は震えていた。
僕は涙を堪えていることが精一杯だった。