僕は生徒に恋をした
「粉取れた?」
そんなことを考えていたとき山田と目が合い、俺は驚いて手を引っ込めた。
俺はもう一度、前髪に付いた粉を払い落としてやってから頷く。
「うん、取れた」
「ありがとう」
山田はお礼を言うと、開封前のカイロを俺に差し出した。
「またやっちゃうといけないから」
俺は苦笑しながらそれを受け取る。
「どうも」
「じゃあね、お休みなさい」
山田はそう言って、今度こそ家に入って行った。
俺はしばらく彼女の家を見つめた後、再び自転車に跨がって自宅に向かった。
―――山田雛。
心の中で彼女の名前をつぶやいてみる。
―――変なやつ。
教室でうたた寝して下校時刻を大幅に過ぎてしまったことや、林原のカレー事件も、今のカイロのことだって思い出しただけで笑えてくる。
―――すごく変なやつ。
笑いを堪えていると寒さなんか吹き飛んでしまい、俺はもらったカイロを開封することなく家までたどり着いた。
そんなことを考えていたとき山田と目が合い、俺は驚いて手を引っ込めた。
俺はもう一度、前髪に付いた粉を払い落としてやってから頷く。
「うん、取れた」
「ありがとう」
山田はお礼を言うと、開封前のカイロを俺に差し出した。
「またやっちゃうといけないから」
俺は苦笑しながらそれを受け取る。
「どうも」
「じゃあね、お休みなさい」
山田はそう言って、今度こそ家に入って行った。
俺はしばらく彼女の家を見つめた後、再び自転車に跨がって自宅に向かった。
―――山田雛。
心の中で彼女の名前をつぶやいてみる。
―――変なやつ。
教室でうたた寝して下校時刻を大幅に過ぎてしまったことや、林原のカレー事件も、今のカイロのことだって思い出しただけで笑えてくる。
―――すごく変なやつ。
笑いを堪えていると寒さなんか吹き飛んでしまい、俺はもらったカイロを開封することなく家までたどり着いた。