僕は生徒に恋をした
そのとき、山田の声が聞こえた。

彼女のことを考えたから聞こえた幻聴かと思ったが、違った。

山田は友達と祭りに来たようで、手嶋先生と仲良さそうに笑い合っていた。

浴衣を着て髪をアップにした山田は、いつもの彼女よりだいぶ大人びて見えた。

山田は俺に気付くことなく、今もまだ手嶋先生と話を続けている。

「うわ。
テッシーのあんなに笑った顔、初めて見た」

小野寺がぽつりとつぶやく。
テッシーというのは手嶋先生のあだ名なのだろう。

「あれ、B組の山田さんでしょ?
意外とテッシー落とされちゃうかもね」

ここに一人、落とされた教師がいるけど。
まさかそんなことを言えるはずもない。

俺は今度こそ生徒たちと別れ、手嶋先生のもとへ戻った。
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