僕は生徒に恋をした
とっさに拾うと、それは携帯電話だった。
なくしてしまったら不便だろう。

「先に戻ってて下さい」

俺は手嶋先生にそれだけ言うと、落としたことに気付かず行ってしまう女性に声を掛けながら追った。

人通りが多くてなかなかその女性に追いつかない。
ようやく彼女を捕まえることが出来たのは大通りを過ぎたところだった。

「落としましたよ、ケータイ」

俺がそう言って渡すと、彼女は驚いて受け取り、何度もお礼を行って去って行った。

さて、戻るか。
ふと振り向くと、さっきの通りと違ってこの場所は視界が開けていることに気付く。

毎年花火を上げている場所の見当はつく。

ここなら、もしかしたら花火が欠けることなく見えるかもしれない。
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