僕は生徒に恋をした
そこまで考えて俺は首を振る。

ジンクスなんて迷信だろう。
そんなものにもすがろうなんて、情けなさすぎる。

俺は自嘲気味に笑い、大通りに戻ろうとしたところで、道の陰でしゃがみ込んでいる人がいるのに気付いた。

そして息を飲む。

「山田…?」

それは山田だった。

どうしてこんなところに。

「どうかしたのか?」

俺が駆け寄ると、山田は首を振った。

「ユウちゃんとはぐれちゃって、歩き疲れちゃった」

ユウちゃんというのは山田とよく一緒にいる生徒だ。

「先生も、一人なの?」

あぁ、そうか。
手嶋先生がいないから山田はそう聞くのか。
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