僕は生徒に恋をした
「…そうか、悪いな」

山田は手嶋先生の番号を知っている。

何となく面白くなかったが、そんな気持ちを隠して山田に携帯電話を借りることにする。

山田に発信してもらい、俺は彼女の携帯電話を耳に当てた。

3コール目で手嶋先生が出た。

「雛?どした?」

手嶋先生の口から、山田の下の名前が呼ばれたことに、俺は戸惑う。

黙ったままの俺を不審に思ったのか、隣にいた山田が声をかける。

「先生、繋がった?」

それが電話の向こうにも聞こえたようで、手嶋先生の声のトーンが急に変わる。

「…佐々本先生?」

頭の中は、手嶋先生の山田を呼ぶ声でいっぱいになっていた。
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