僕は生徒に恋をした
山田を心配する、優しい声。

手嶋先生のあんな声、初めて聞いた。

そういえばさっき小野寺たちも、山田と話をする彼の笑顔に驚いていたっけ。

手嶋先生は自分が山田に惹かれていることに気付いてないだけで、二人はとっくに両思いなのかもしれない。

「―――あ、はい、佐々本です。
帰り際に山田と会って、家まで送って行ったので、もう少しかかりそうで…」

動揺して上手く喋ることができない。

手嶋先生が山田に興味がないことが唯一の救いだったのに。

もし先生も、ということになれば、全く勝ち目がないじゃないか。

用件だけ伝えて俺は電話を切った。

気が滅入る。
俺は山田のことで、一体何度落ち込んだだろう。
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