僕は生徒に恋をした
「お兄ちゃん、何て言ってた?」

山田の言葉はあまりに自然で、俺はひっかかりもしなかった。

「ああ、気を付けて戻って来いって…」

―――え?

俺の頭に疑問符に浮かぶ。


「あ、学校ではそう呼んじゃいけないんだった。
でも、校内じゃないからセーフ」

山田は笑う。

「え?」

ちょっと待て。
山田は今、とんでもないことをさらっと口にしたような気がする。

「あれ、先生は知ってると思ってた。
私と手嶋先生は兄妹なんだ」

正確には兄妹とは言えないんだけど、と山田は付け足す。

「お母さんの再婚相手の連れ子が手嶋先生なの。
離婚してるから実際は戸籍も無関係だけど」
< 116 / 374 >

この作品をシェア

pagetop