僕は生徒に恋をした
「―――自主トレかぁ、やる気出ねえなぁ」

武内の声で俺は我に返り、視線を彼に戻した。

「さっきバレー部に頼まれちゃってさ。
悪いけど、放課後までに武内から二年の部員に伝えておいてくれ」

そう言ったとき、山田の連れが声を上げたのが耳に入った。

「あれ、雛ー?」

俺は無意識に声のした方に目をやる。

「雛ってばその靴下、表裏逆じゃない?」

その言葉に、山田が自分の靴下を見て目を丸くするのが見えた。

「本当だー!
何でもっと早く言ってくれないのー!」

山田は慌てて教室を飛び出した。

今度は靴下か。

俺がプッと吹き出したのを見て武内が首を傾げる。

「佐々ちゃん?」

「いや、何でもない」

俺は笑いながら首を振った。
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