僕は生徒に恋をした
緊張したのか、佐藤先生の肩に力が入ったのが分かった。

俺はそれで初めて、彼女の肩に手を置いたことを意識した。

「あ…」

俺はゆっくり彼女から離れ、すみません、と頭を掻く。

すると今度は足に力が入らなくなり、気付けばその場にずるずると座り込み、壁にもたれ掛かってしまった。

佐藤先生は俺の手からグラスを取ると、冷蔵庫の中からミネラルウォーターを出し、それに注いでくれた。

俺は彼女からグラスを受け取ると、少しは酔いもマシになるかと思い、一気に飲み干す。

「先生がこんなに酔ったところ、初めて見ました」

「…俺もです」

こんなに自分がなくなるほどになったのは初めてかもしれない。
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