僕は生徒に恋をした
確かに佐藤先生にはなんの問題もない。

応えられないのは俺の気持ちのせいだ。

俺が、振られたにも関わらず、まだ山田に気持ちがあることが問題なんだ。

「好きなやつでもいるのか?」

俺は黙る。

「中村とよりを戻したとか言うなよ」

そうだ、林原は中村とのことを知っている。

当時彼に、生徒と付き合うことを散々反対されながらも付き合った結果があれだ。

だから山田のことは口が裂けても言えない。
俺自身、学習しない自分に呆れているのだから。

「一体何を迷う?
俺のことなら気にするな。
別に彼女だけが女じゃない」

これでもモテるんだ、と林原は笑った。

昨夜のことは、きっと彼なりの好意なのだろう。

彼なりに考え、佐藤先生のためにしたことなのだろう。
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