僕は生徒に恋をした
「少し考えさせてくれ」

俺はやっとそれだけ口にすることができた。

「あれ!
佐々ちゃん早いじゃん」

呼ばれて振り返ると、続々と部員たちが顔を出す。
もうすぐ部活の始まる時間だった。

「じゃあ、俺行くわ」

林原は俺に背を向けて歩き出したかと思うと、ふいに足を止めた。

彼は振り返り、まるで俺を睨むように見つめる。

「彼女を傷付ける真似だけはすんなよ」

林原はそう言い残し、今度こそ手を振って去って行った。

「何なに、何の話?」

いつになく真剣な林原の様子を不思議に思ったのか、部員が俺の顔を覗き込む。

「関係ない。こっちの話だ」

俺は作り笑いを浮かべて答えた。

俺だって林原のあんな顔、初めて見た。
正直驚いた。
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