僕は生徒に恋をした
俺は目線を戻してコーヒーを口に含む。

武内と楽しそうにしているの山田の顔を見るのはさすがにキツい。

俺の顔は強張ってはいないだろうか。

「手を繋いでる。かわいいカップル」

佐藤先生が微笑む。

彼らの話題自体が苦痛でたまらない。

頭から山田の笑顔が離れない。

俺は一体どうなってしまうのだろう。

******

「佐々本先生のことが好きです」

彼女の家の前まで送って行ったところで彼女に言われた。

「酔っているときじゃなくて、もう一度ちゃんと伝えたくて…」

佐藤先生が言い終わる前に、俺は彼女を抱きしめていた。

山田に感じた愛おしい気持ちとは違う。
きっとこれは恋じゃない。

だけど、一人でいると足元から崩れていきそうだった。
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