僕は生徒に恋をした
「俺も体育館行くから付いておいで」

先生は私が想像していた以上にかっこよくて、優しかった。

ありがとう、と私がお礼を言おうとして口ごもると、先生は苦笑した。

「ああ、佐々本だ。
佐々本恭司」

やっぱり。

「ありがと、佐々本先生」

彼を好きになるのは一瞬で十分だった。

佐々本先生が校内でも人気なのはすぐに分かった。

佐々ちゃん、と親しみを込めて呼ばれているのも知ったけど、私は意地でもそう呼ばないと決めた。

そう呼んだら、他のみんなと同じになってしまう。
そんなの嫌だった。
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