僕は生徒に恋をした
下駄の鼻緒が壊れているのを知ると、先生は迷わず私を背負って歩きだした。

先生には彼女がいるから、悪いとは思ったけど、私は先生に甘えてしまう。

先生の背中は大きくて暖かくて、心地良かった。

一緒に花火を見れたときは、涙が出そうだった。

一緒に真ん丸の花火を見ると両思いになれるなんてジンクスがあることを、先生は知らないだろうけど。

彼女持ちの先生にはいい迷惑だと、我ながら思う。

別れ際、浮かれてよろけた私を先生は支えてくれた。

先生があんまり優しいから、困らせたくなって、よろけたのはわざとだと言ってみる。

先生がすごく困った顔をしたからすぐに嘘だと言ったけど。

あの夜、先生は好きな人に相手にもされてないと言った。

それが本当なら、あの実習生と付き合っていないことになる。
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