僕は生徒に恋をした
何でこの子は生徒で、俺は教師なんだろう。

「ごめんね先生、困らせて…」

山田の頬を涙が伝う。

だけど俺はそれを拭うことができない。
彼女を傷つけた俺にそうする資格はないから。

そのとき、ジャンパーのポケットの中で携帯電話が震えた。

俺が着信に出られないでいるのに気付き、山田はゆっくりと俺の手を掴んでいた手を離す。

「電話、出なくていいの?」

今この場で、山田より優先する用事なんてない。

だけど電話は鳴り止まず、山田がもう一度俺の顔を見る。

俺は仕方なくポケットから携帯電話を取り出し、画面を見る。
佐藤先生だった。
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