僕は生徒に恋をした
「佐藤先生…?」

山田に聞かれて俺は頷く。

「今、彼女家に来てるんだ」

俺は画面を見つめたまま、電話に出る気がおきない。

できることならこのまま、山田と少しでも長く一緒にいたかった。

「電話、出なきゃ」

山田の涙は止まっていた。

多分俺が山田を気にして電話に出ないんだと思い、そう促したのだろう。

山田に気を遣わせてしまう自分が情けない。

そうしているうちに電話が鳴り止んだ。

「良かったの?」

「用件はだいたい分かってるから」

醤油を買いに行ったにしては時間が経ちすぎたから心配しているのだろう。

「ごめんね、先生」

山田は何度俺に謝るんだろう。
本当に謝るべきは俺なのに。
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