僕は生徒に恋をした
「でも、今夜は用事ないって…」

「ごめん。
こうして会うのも、これきりにしたい」

佐藤先生の顔を見れない。

だけど、山田の気持ちを知った以上、佐藤先生とは一緒にいられない。

俺の中のせめてものけじめだ。

「―――それって別れたいってこと?」

わがままを言ってるのは分かっている。

山田に気持ちを残したまま、佐藤先生と付き合うと決めたのは俺だ。

彼女は良くしてくれた。
これ以上ないくらいの恋人だったのに。

「何で?急過ぎるわ…」

「ごめん」

俺は謝るしかできない。

「謝って欲しいんじゃない。
さっきまではいつも通りだったのに、何で…」

佐藤先生の言うことはもっともだ。

俺だって、急に別れたいと言って頷いてもらえると思ったわけじゃない。

だけど答えることはできないんだ。
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