僕は生徒に恋をした
「私には答える価値もないの?」

「そういうわけじゃなくて…」

「付き合い始めたのも責任を感じてでしたよね。
同情で一緒にいてくれてたのも分かってました」

彼女の言葉は的を射ていて、俺は否定できない。

「佐々本先生は始めから、ずっと今も私のことを見てなかった」

彼女の言葉が胸に刺さる。

佐藤先生は気付いていたんだ。
俺の心が彼女にないことに。

彼女はそれを知って、俺の側にいてくれていたというのか。

「それでも側にいたかったのに…」

佐藤先生はそう言うと、上着とバッグを掴んで出て行こうとする。

「ちょっと待って」

俺は佐藤先生の手を掴む。

「私のこと好きじゃないなら、離して下さい」
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