僕は生徒に恋をした
「お待たせ」

商品を受け取るとき、武内が俺に耳打ちする。

「佐々ちゃん、俺振られちゃったよ」

俺は驚いて彼を見た。

同時に、山田を拒んでおきながら、それを聞いてホッとする自分が情けない。

「あいつ最近何かおかしかったんだよね。
空元気っていうか…」

佐々ちゃんにはバレてるし一応報告まで、と武内は笑う。

俺は去り際に裏方に回る。

「山田」

俺が声を掛けると山田は目を丸くし、その後で徐々に顔を綻ばせていった。

それを見て嬉しかった。

彼女を自分のものにできないなら、せめて今まで通りの関係は続けていきたかったから。
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