僕は生徒に恋をした
「来てくれないと思ってた」

「まさか。
絶対食べるって言ったよ」

会話の途中で、ふと違和感を覚える。

山田の顔に元気がない。

元々彼女は色白だけど、今日は白すぎはしないだろうか。

「山田、具合悪い?」

俺が聞くと、隣にいた友達が口を開く。

「佐々ちゃんもそう思う?
雛ってばずっとこんな調子で、食欲ないって昨日からほとんど何も食べてないし」

「大丈夫だって」

そう言う山田は少しふらついて見える。

学生が学園祭に夢中になるのは常だが、心配だった。

「あんまり無理するなよ」

だけど俺にはそう言う他に何もできない。

無力な自分を悔やみつつ、模擬店を去ろうとした瞬間。

「雛っ?!」

山田の友達の悲鳴にも似た声が響いて振り返ると、山田が床に崩れていた。
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