僕は生徒に恋をした
俺は山田に付き添ってきた友達に向き直る。

「山田が目を覚ますまで、俺が側にいるよ。
まだ仕事中なんだろ?」

さっきの様子だと、下ごしらえは少人数でやっていたようだから、二人抜けるのは負担だろう。

「本当?
佐々ちゃんなら安心だ」

友達は何度か頭を下げて教室に戻って行った。

「佐々本先生は本当に面倒見がいいわよね」

保健の先生に言われて恥ずかしくなる。

面倒見がいいんじゃない。
倒れたのが山田じゃなかったら、保健室に先生が来た時点で俺は立ち去っていたはずだ。

「実は私、後夜祭の手伝いを頼まれているのよ。
この調子なら心配はなさそうだし、佐々本先生に後をお願いしていいかしら」

俺が頷くと先生は出て行き、保健室には山田と二人きりになった。
< 204 / 374 >

この作品をシェア

pagetop