僕は生徒に恋をした
「なにせ、俺の目の前で倒れたからな。
生徒は仕事もまだあるから教室に戻した。
保健の先生も後夜祭の手伝いに行くって言うから、代わりに俺が」

俺が自分から進んで側にいたのを知られたくなかったから、さも成り行きのように説明する。

「そっか…」

「―――体調悪いなら少しは休まなきゃ駄目だろう。
学園祭だからって、無理して倒れてどうする」

隠し事があるとついつい口数が多くなってしまう。

「全然休憩を取ってなかったって友達が言ってたぞ」

学園祭で張り切るなんて高校生は若いよ、と言うと山田に苦笑された。

「先生、おじさんくさい」

「お前らと比べれば立派なおじさんだよ」

「そういう意味じゃなくて…」
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