僕は生徒に恋をした
武内があと少し早く来ていたら、さっきのを見られていただろうと思うと気が気じゃない。

その反面、武内がいれば山田と二人きりにならずにすむことに気付きホッとした。

俺はまだ答えが見つかっていなかったから。

ノックをして室内に入る。

二人が俺を見たが、俺は山田を見られなかった。

「後夜祭は?」

「盛り上がってるよ。
先生のクラスのやつらがバンドやってる」

そういえば最近、放課後に男子が数人教室に残って練習していたのを思い出す。

「見に行ってやんないの?」

武内の視線が少しだけ冷たく感じた。

「山田は俺が見てるよ」

そう言われてしまうと、俺は食い下がれない。
< 211 / 374 >

この作品をシェア

pagetop