僕は生徒に恋をした
教師と生徒の恋愛なんて、彼女に後ろめたい思いをさせるに違いない。

好きなところへデートだって行けない。

いつも周りを気にしなきゃならない。

そんな付き合いを、彼女が期待しているとは到底思えない。

「そうだな、その通りだよ」

そもそも俺に選択肢なんてあるはずはない。

迷うまでもなく、抱きしめたことに深い意味なんてないと伝えるべきだった。

「どっちにしろ、山田の気持ちに応えてやる気がないならさ、あいつに関わらないでよ」

武内の言葉はもっともだ。

俺の気持ちを伝えるのはきっと彼女のためにならない。

―――だけど。

「バカだな、武内…。
逆効果だよ」

俺はつい笑ってしまった。
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