僕は生徒に恋をした
俺という人間は何て自分勝手な生き物なのだろう。

武内に止められて逆に、俺の迷いは吹き飛んだ。

山田の気持ちに応える気がないなら関わるな、と彼は言った。

裏を返せば、関わらずにいられないなら、彼女の気持ちに応えるしかないんだ。

俺は山田が気になってたまらない。
いくら距離をとろうと思っても、気付けばすぐに彼女を目で追っていた。

関わらずにいるなんて、俺にはきっと無理なんだ。

「佐々ちゃん…?」

「悪いな、武内。
さっきの、信用してるよ」

俺はそう言って、眉をひそめる彼に背を向けて歩き出す。
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