僕は生徒に恋をした
「悪いなって…。
さっきのって何だよ」

「山田が困るようなことはしない、ってやつ」

俺は彼を振り向かず、手だけ振って言う。

「え?ちょっと待って。
それってどういう意味…」

武内は呆然として立ち尽くしていた。

******

後夜祭が終わり、俺は近所のコンビニの駐輪スペースで、壁にもたれながら頭を冷やしていた。

体育館でのライブの記憶はほとんどなかった。

ひたすらこの後のことばかり考えていたから。

「―――遅いよ」

コンビニの前を通りかかった山田を見止めて、俺は声をかけた。

「先生…」

俺に気付き、山田は目を見開く。

「言っとくけど、今度は偶然じゃないから」
< 218 / 374 >

この作品をシェア

pagetop