僕は生徒に恋をした
この間は、買い物に来たところでたまたま出会った。

そのとき山田の気持ちを知ったんだっけ。

あの偶然がなければ、今の必然はきっとなかった。
そう思うと不思議なもんだな。

「山田を待ってたんだ」

その言葉で、彼女の顔色が変わったのが分かった。

「俺に聞きたいことがあるんじゃないかと思って」

「ある」

山田の素早い反応に俺は声を出して笑ってしまう。

「お前の素直さを、少しは見習わなきゃと思うよ」

「先生…、何かいつもと違う」

ああ、俺も自覚してるよ。

「―――何が聞きたい?」

俺がそう言うと、山田は言葉を選んでいるのか一瞬ためらう。
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