僕は生徒に恋をした
俺は足を止めて、彼女に向き直って、

「全部、答えは一緒だけど」

とだけ言った。

山田につられて、俺まで心臓が高鳴る。

子供じゃあるまいし、何をこんなに緊張してるんだろう。

「どういう意味?」

山田は俺を見つめる目を逸らさない。

「ちゃんと言ってくれなきゃ、分からない」

嘘だ。山田はもう分かってる。
俺が今、何を言おうとしているのかを。

「今まで悪かった…」

俺が山田の透き通るように白い頬に手を伸ばすと、触れた部分が次第に紅潮していくのが分かった。

山田はその上に、恐る恐る自分の手を重ねる。

「山田が好きだよ」

彼女の手が小さく震えたのに気付く。
< 221 / 374 >

この作品をシェア

pagetop