僕は生徒に恋をした
俺は思わず山田の手を掴んでいた。
彼女にキスしたかった。

だけど純粋な目で首を傾げる山田に、無理矢理そんなことはできそうもない。

欲求不満になりそうだ、と思った。

******

翌日は文化祭の片付けのため、授業も部活もなかった。

この文化祭期間ろくに体を動かせずにいたため、俺は自分のクラスがほぼ片付いたのを見届けた後、体育館に向かう。

後夜祭の名残もなく、体育館はいつものように静まり返っている。

俺は軽くウォーミングアップを行った後、倉庫からバスケットボールを出す。

ドリブルもシュートも、今日の調子は良さそうだ。

得意のスリーポイントシュートを決めたとき、後ろから声がかかった。

「ナイッシュー」

振り向くと、そこには武内が立っていた。
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