僕は生徒に恋をした
「佐々ちゃん、勝負してよ」

彼はボールを顎で指して言う。

「―――いいよ」

武内とは今までにも数回1on1をしたことがあったけど、確実に他の生徒よりも上手い。

だけど、結果はいつも通り俺の圧勝。

「佐々ちゃん、大人気ないぞ!」

俺からボールを奪うことができなかった武内は肩で息をしながら叫んだ。

「俺の高校、インターハイ常連校だったんだよ」

俺は笑って武内にボールを投げた。

「―――佐々ちゃんはいいよね。
どうせ昔から何だってできたんでしょ?」

武内は口を尖らせてつぶやく。

「今まで上手くいかなかったことなんてないんじゃないの?」

俺はどうも、こういう買い被りが多い気がする。

「そんなのしょっちゅうだけどな。
一番最近だと、お前が山田と付き合ったときだよ」

武内は一瞬目を丸くすると、プッと吹き出した。
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