僕は生徒に恋をした
腕時計を見ると、もう12時に近い。

片付けは午前中で終わりだから、そろそろ生徒を解散させる時間だった。

******

ホームルームを終えると、俺は校内放送で職員室に呼び出された。

顔を出すと、バレー部の顧問から、体育館使用の割り振りを決めて欲しいと頼まれる。

秋は三年生が抜け、新メンバーになるため互いに基礎練習が多くなる。

いつも悩まされるのが、体育館のスペースの割り振りだった。

作業は割と長引き、終わった頃には職員室にもほとんど人がいなかった。

帰ろうとしたとき、別の作業をしていた手嶋先生が目に入る。
彼には山田とのことを伝えるべきか迷ったが、ためらう。

問題だけは起こすなよ、と以前言われたのが頭に残っているせいかもしれない。

結局彼には何も言えないまま職員室を出たところで、山田が立っていた。
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