僕は生徒に恋をした
「先生の私服ってそんな感じなんだ」

どうやら山田も同じことを考えていたようで、俺は褒めそびれてしまう。

別に代わり映えしないだろ、と俺が言うと山田は笑った。

彼女と街中を連れ立って歩く。
ただそれだけで、何かくすぐったくて落ち着かない。

山田が制服でないからだろうか。

今の山田と俺は、端から見たら普通の恋人同士に見えているのだろうか。

そんなとき、

「あれー?
佐々ちゃんじゃん!」

不意に名前を呼ばれ、驚いて振り返る。

そこにいたのはバスケ部の生徒たち数人。

全く、タイミングの悪いやつらだな。

この辺りは高校の側でないにしても通学圏内だし、知り合いに出くわしてもおかしくはない。

だが、こんなにも早い段階で二人きりでいるのを見られてしまうと先が思いやられる。
< 235 / 374 >

この作品をシェア

pagetop