僕は生徒に恋をした
「こんなとこで何してんのー?」

「いいとこで会ったー。
俺ら腹減ってたんだよね。
佐々ちゃんおごって、おごって」

彼らは俺の側に纏わり付いてきたかと思うと、山田に目をやり、

「―――あれ、確かこの子って、B組の…」

俺達の顔を見比べた。

途端に山田の顔が曇る。

まずいな、何かフォローしなきゃ。

「―――ああ。
どうせ暇してるだろって、手嶋先生に美術部の買い出しを手伝わされてるとこ」

向こうに手嶋先生もいるよ、側の本屋の奥を覗くようにしれっと嘘をつくと、彼らは疑わなかったようだ。

「お前らも荷物持ち、付き合うか?」

俺が言うと、

「遠慮しておきまーす」

彼らは俺に手を振って逃げて行った。
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