僕は生徒に恋をした
さすがに本気で洋平と何かあったと思ったわけではなかったけど、安心したのも事実だった。

「俺これから車で出掛けるけど、良ければお前ん家寄ってくか?」

携帯ないと困るだろ、と洋平は言う。

「悪いな」

洋平のことだから、携帯電話を口実にしてまた山田を呼び出したりするかと思ったが、考えすぎだったようだ。

俺が心配するほどには、彼は山田に興味はないのだろう。

30分もしないうちに、洋平から家の前に着いた、というメールが来た。

「これから仕事か?」

俺は車の窓越しに山田の携帯電話を受け取りながら、彼に問う。

「ああ。今、煮詰まっててね。
雛ちゃんと会って、いい気分転換になった」

多忙な洋平がすぐに時間を作ってくれた理由が分かり、納得する。
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