僕は生徒に恋をした
第二十章 疑惑
「3-B山田雛、至急数学準備室まで来なさい」

職権乱用と言われればそれまでだけど、俺は昼休みに校内放送で山田を呼び出した。

補講や課題提出のために、準備室に生徒を呼び出すことはたまにある。

それに山田はあまり数学の成績も良い方じゃないから、不審に思われないだろう。

ほどなくして山田が顔を出した。

周りを見回すので、俺しかいないことを伝えてやると、彼女はふわっと笑った。

「これ」

俺は彼女に携帯電話を渡した。

「何で先生が持ってるの?」

受け取りながら、山田は目を丸くする。

「洋平の家に忘れてったんだよ」

なくしたと思ってた、と山田は携帯電話を握りしめ、俺を見つめた。
< 251 / 374 >

この作品をシェア

pagetop