僕は生徒に恋をした
「恭司、洋平に電話しろよ」

飲み始めて小一時間ほどたった頃、関口が俺に言う。

「何で俺が」

「お前が一番酔ってないから」

彼の言葉に、辺りを見回して納得する。

俺と関口はまともな方で、後のやつらはかなり酒が効いてるのか呂律が回っていなかった。

俺が携帯電話を取り出し、しぶしぶ洋平の名前をプッシュすると彼は5コール目で出た。

「―――何?」

「何って、お前来ないのかよ」

「えーと…」

洋平は少し考えるように言葉を詰まらせる。

彼のこういう沈黙の後は、たいてい断りの言葉が続く。

「今日は止めとくわ。
幹事にまた企画しろっつっといて」
< 257 / 374 >

この作品をシェア

pagetop