僕は生徒に恋をした
やっぱりな。
昔から変わらない。

「自分で言えよ」

俺はそう言って、携帯電話を関口に渡した。

「洋平、何だよお前仕事かよ」

関口が洋平と喋るのを横目で見つめながら、俺はグラスのビールを飲み干す。

洋平が来ないと分かり、内心ホッとしていた。

彼と気まずい原因は全て俺にあると分かっていても、人間歳をとるとなかなか素直になれないようだ。

「じゃあ、また集めるから次は来いよ」

関口はそう言って電話を切った。

「何、仕事だって?」

俺が問うと、関口はにやりと笑って首を振った。

「―――多分違うな」

何で?と俺は聞き返す。

「一人で仕事してるって言ってたけど、後ろでケータイの着メロ鳴ってやんの。
誰かといるのバレバレ」
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