僕は生徒に恋をした
気持ちの移ろいやすい高校生と付き合うと決めたときから、覚悟していた。

俺は山田を追うことはできない。

「おいおい、お前の彼女なんだろ。
否定くらいしろよ」

「―――彼女がお前に惹かれているなら、仕方ないのかもしれない」

以前中村が、あれくらいの年齢のやつは、年上に惹かれる時期があると言っていたっけ。

まさに山田がそうなのかもしれない。

たまたま俺がよく見えただけで、本当は俺でなくたって構わなかったのかもしれない。

「―――お前との方が話も合うのかもな」

洋平なら山田と趣味も合うし、迷ったときには相談にも乗ってやれるだろう。

「言ってることと、表情が真逆だな」

洋平はコーヒーを一口飲んで言った。

「雛ちゃんを誰にも渡したくないって顔してる。
―――正直、俺にはそんなにいい女には思えないけど」

洋平は再び苦笑した。
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