僕は生徒に恋をした
自分の誕生日に執着がないから、すっかり忘れていた。

「よく覚えてたな」

「お前ほど覚えやすい誕生日のやつはそういないよ」

洋平はため息をつく。

「まぁ、彼女に聞かれなきゃ、俺だって思い出しもしなかったけどね」

「ちょっと待て、山田に言ったのかよ」

嫌な予感がした。

女は得てして、男と比べものにならないくらい誕生日を重要視する生き物だ。

「お前、それを早く言えよ!」
俺は途端に慌てる。

「口止めされてたから。
サプライズなんだってさ」

洋平はまた笑う。

バラしてんじゃないかよ、と俺は彼に突っ込みながら急いで玄関へ向かった。
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