僕は生徒に恋をした
「いや、彼女お前にメールしてたよ。
間違って俺んとこ届いてたけどな」

洋平は笑って言った。

本当にそんな都合のいい話があるか。

嘘だ、と言いたいとこだったけど、山田ならやりかねない。

「もたもたしてると家着く前に日付変わるよ。
待ちぼうけは酷でしょ」

マジかよ、と俺は慌てて彼の家を出た。

駅までたどり着き、なかなか来ない電車にイライラする。

まさかこんな寒空の下、本当に待ってたりしないよな…。

駅から家まで全力で走り、玄関の前にうずくまる陰を見つけ、俺は息が止まりそうになる。
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